第15章 誕生祝い to MASAKI
「両手に花でしょ♪」
「自分で花とか言うか?」
ご機嫌なニノに雅紀は眉を顰めてみせる。
あーあ、絶対嬉しいのにわざと怒らせるようなこと言って。
「なんだよ!素直に嬉しいって言えよな!」
「はいはい、嬉しい嬉しい」
「むかつく!」
「あはは」
予想通りキャンキャン噛みつくニノと軽く受け流す雅紀と。
まぁ、2人ともこんなやり取りを楽しんでいるんだろう。
口ゲンカしててもニノは雅紀から離れないし、雅紀も引き剥がそうとはしない。
智は反対の腕にくっついたまま、2人のやり取りに爆笑していて。
楽しそうな3人の姿になんだかほっこりとした気分になった。
まだ固まっている翔の腕を小突く。
「今日は雅紀の誕生日を祝うのが目的だろ?」
「………分かってる」
さっきの翔の言葉をなぞると、情けない顔をしながらもちゃんと頷いた。
俺だって本音を言えば、智が可愛く笑いながら俺以外の男と腕を組んでるなんて面白くない。
それが雅紀だから、しかも誕生日だから、まだ我慢できるってだけだ。
翔は俺を見て、仲良くくっつく3人をもう一度見て、深いため息を吐いてから頭を大きく振って。
顔を上げた時にはスッキリとまでは言えないけれど、だいぶマシな顔になっていた。
「そろそろ行こうか。早めに並ぼう」
「うん!行こ!」
わちゃわちゃしてる3人に翔が声を掛けると、ニノが元気に返事をして。
智と目配せしたと思ったら、ほぼ同時に雅紀をぐいぐい引っ張りながら歩き出した。
「うわっ、引っ張るなよ」
文句を言う雅紀の目尻はやっぱり嬉しそうに下がっていた。