第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーMsideー
展望台はただの展望台じゃなかった。
なんていうか、ちょっとした遊園地とかテーマパークみたいな感じ。
あちこちに仕掛けとか遊べる場所があって。
ここも混んでるから全部ゆっくり楽しむとは行かないけど、色々面白い。
「ニノ!翔くん!見て見て!床が透けてるみたい!」
「ゔっ…」
「あいばか!翔ちゃん高いとこ苦手なの!」
「そうだった!ごめんね、翔くん!」
「翔ちゃん大丈夫?これ映像だからね?落ちないから安心して?」
「うん…分かってる…分かってるんだけど…」
翔たちは相変わらず賑やかだ。
テンションの上がってる雅紀と、高所恐怖症で青ざめる翔と、翔を心配するニノ。
3人とも手をしっかり繋いだままでなんだか微笑ましい。
「ここは翔ちゃんが楽しくないからあっち行こ!鏡のとこ!」
「えっ、ちょっと…」
「あ!あのぐるぐるなんだろ?」
「ええっ、鏡は?」
相変わらずニノが2人を引っ張り回してて。
「ニノはワガママ放題だな」
「ふふっ、あれはワガママじゃないんだよ。翔くんへの愛だよ」
つい呟いてしまったら智が笑った。
「は?愛?」
いや、言ってる意味が分かんねーんだけど。
「あんな風にニノが自分から動くのって珍しいんだよ?」
「そう言われればそうかもな…」
ニノはあまり自分で決めたりしないって言ってたし。色々思い返してみても、なんでもいい、任せる、みたいなのが多い気がする。
「もちろん単純に楽しんでるんだろうし、本人も無自覚なワガママはあるだろうけど。今はああやって翔くんの高さへの恐怖心を薄れさせようとしてんじゃないかな」
「へぇ」
確かにあれだけ振り回されれば怖がってる暇はないだろうし、翔も雅紀も戸惑った声を上げつつも楽しそうだ。