第14章 誕生祝い to SATOSHI
でもニノも智も気付かない。
「ニノ、どうする?まだペンギン見る?」
「ううん、俺はもう満足!智は?」
「俺も満足!」
「ふふ、良かった♪」
「ありがとう」
「ペンギン可愛かったね♡」
「本当に空飛んでたね♡」
くっついたまま、また頭上のペンギンを見上げてキャッキャとはしゃいで。
「じゃあ次は展望台行こっか!」
「うん、行こ!」
一通りイチャついたら満足したのか、やっとニノが智から離れた。
とてとてっと俺と翔くんの間に戻ってくる。
途端に翔くんの表情がパッと明るくなった。
さっきから一喜一憂してるのが分かりやす過ぎて、見てるとちょっと面白い。
ニノはまた両手で翔くんと俺の服の裾をきゅっと掴むと
「ね、早く展望台行こ?」
小首を傾げながらワガママを言う。
俺たちの意見は聞いてくれないらしい。
まぁ、水族館はもう十分満喫したから別にいいけど。
「うんうん、早く行こうね」
翔くんがデレっとしながら甘やかすと、ニノがにこっと笑う。
くそー、可愛い。
しかも裾をちょこんと掴まれてるのが、やっぱりきゅんとくる。
なんか悔しい。
そのまま歩き出したけど
「やっぱりちょっと歩きにくい…」
ニノがそう呟いて俺たちの服から手を離した。
翔くんが一瞬悲しそうな顔をしたけど、ニノはすぐにその手を俺たちの手に向けて伸ばす。
「手繋ご?」
「うん!」
翔くんはすぐにニノの手を取った。
「んっ!」
ニノは反対の手を俺に差し出していて。
「え?俺も?」
「当たり前でしょ!」
何が当たり前なんだか知らないけど、ニノに怒られた。
でもそれが素直じゃないニノの優しさだってちゃんと分かってる。
別にそこまで俺のこと気にしなくてもいいのに…なんて、それは半分本心で半分は強がりで。
本当はやっぱり嬉しい。
ニノを真ん中にまた3人で手を繋いで展望台に向かった。