第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーAsideー
振り向けば、俺たちの少し後ろを歩くニノと翔くんが見えるんだけど。
「翔くん嬉しそうだねー」
さっき散々潤を羨ましがってた翔くんは、ニノに裾を掴んでもらえたらしく、溶けちゃいそうなくらいデレッデレな顔をしてる。
「念願叶って幸せなんだろうよ」
「ニノもニコニコして可愛いね」
潤と智も後ろをちらりと見る。
「ニコニコを通り越してニヤニヤしちゃってない?」
「幸せそうでいいじゃん」
確かに顔が緩みまくった2人は幸せそうで。
2人を見る智まで幸せそうにニコニコしてて。
笑顔って伝染するよね。
気が付けば潤も俺も笑顔になってた。
水族館に再入場して、今度はまっすぐペンギンの水槽に向かったら、まだ日が沈んだばかりだったみたいで空がオレンジで。
「わぁっ!きれい…っ!」
ニノが目を輝かせながら感嘆の声を上げた。
オレンジの空を泳ぐペンギンは何だか幻想的で。
それから少しずつ暗くなって行くのを、みんな言葉もなくただじっと見つめていた。
完全に暗くなると、水槽はブルーにライトアップされて。
都会の夜景の中を泳ぐペンギンは、昼間とは雰囲気がまた全然違う。
「夜も綺麗だね」
「だな」
いつの間にか智と潤の距離が近づいてて。
寄り添ってペンギンを眺める2人は何だか良い雰囲気で。
つい真横で観察してたら
「雅紀!まーさーきー!」
ニノに小さい声で呼ばれた。
でも振り向く前に
「雅紀はこっち来て!」
「え?わっ…」
ニノが翔くんにつかまってるのとは反対の手で、俺の服を引っ張った。
ぐいぐい強引に引っ張られて、智たちから少し遠ざかる。