第14章 誕生祝い to SATOSHI
「離さないでほしいなー…って」
一瞬言われた意味が分からなくて、翔ちゃんの赤い顔をマジマジと見つめてしまう。
手って、この翔ちゃんの服を掴んでる俺の手のことでいいのかな?
それを離さないでほしいって…
それって、それってさ…
「翔ちゃんイヤじゃないの?」
「全然嫌じゃないよ!むしろ嬉しい!」
「嬉しい?」
「めちゃくちゃ嬉しい!」
翔ちゃんは力説してくれて。
その目尻が本当に嬉しそうに下がってて。
「それに今日のカズは智くんにべったりだったから、ちょっと寂しかったんだ。だから、また俺の隣に戻ってきてくれたのも嬉しいよ」
少し照れ臭そうに話す言葉は嘘じゃなさそうで。
翔ちゃんもさみしかったって…
俺の感情とは違うっていうのは分かってる。
翔ちゃんのは友情で、俺のは恋愛感情だから。
それでも、さみしいって思ってもらえたことが、すごくすごーく嬉しい。
翔ちゃんがそう言ってくれるなら遠慮しないもんね。
離しかけてた手にまた力を込める。
「うふふ♡」
嬉しくて自然と頬が緩んで。
1人にやけちゃってたら
「ニノー!翔くーん!置いてっちゃうよー?」
いつの間にか歩き始めてた智に呼ばれて。
「行こっか」
「うん♡」
翔ちゃんと並んで歩き出す。
手を繋いでる時より歩きにくいけど、手を繋ぐより距離が近い気がする。
ちょっと恥ずかしいけど新鮮でいいかも♡
半歩後ろから見る翔ちゃんもカッコいいし♡