第14章 誕生祝い to SATOSHI
「カズのことは俺が守るって約束したでしょ?」
俺が死にそうになってることに気付かない翔ちゃんは、キラキラな笑顔のままそう続けるけど。
俺、まだ翔ちゃんの腕の中だからね。
こんな近くでキラキラを浴びてたら溶けちゃうんじゃないかな。
「虫からも?」
「カズの笑顔を曇らせる全てのものから守るよ」
もう言ってることまで王子さまで。
なんでこんなこと素で言えちゃうんだろう。
またお姫さま気分になっちゃうじゃん。
翔ちゃんが眩しすぎて思わず両手で顔を覆ったら、びっくりするくらい熱かった。
きっと真っ赤になってるんだと思う。
「カズ?どうしたの?」
突然顔を隠して黙り込んだから、翔ちゃんにしてみたら意味不明だろうし、なんなら不審な行動だろうに。
それでも優しい翔ちゃんは心配してくれる。
心配なんて掛けたくないんだけど、赤い顔を見られるのも恥ずかしくて、そのままじっとしてたら
「もしかして俺に守られるなんてやだった?」
翔ちゃんの声が悲しそうに聞こえて、慌てて手を外して顔を上げたら、声と同様にちょっと悲しそうに眉毛が下がってた。
「やなわけないよ!翔ちゃんの迷惑じゃないなら…俺は嬉しい…」
勢いよく否定したのはいいけど、翔ちゃんの綺麗な目に見つめられたらやっぱり恥ずかしくて、声は尻すぼみに小さくなっていく。
「俺がやりたくてやってるのに迷惑なわけないでしょ」
また俯いてしまってたら、頰に翔ちゃんの手が添えられて上を向かせられた。
「これからも守らせてね」
真正面から目を合わせて、優しい笑顔でそんなこと言われて。
やっぱり眩しくて、こくこく頷くだけで精一杯だった。