第14章 誕生祝い to SATOSHI
「本当によく出来てるねー」
「ね!すごいよね!」
智と雅紀はダンゴムシを開いたり丸めたりひっくり返したり、子どもみたいに無邪気に遊んでる。
「潤、本当にありがとう!大事にするから!」
智はキラキラな瞳を潤くんに向けたけど。
大事にするってダンゴムシを?
ガチャガチャあんなにたくさんあったんだから、もっと可愛いのとかにすれば良かったのに…
でも智はダンゴムシが好きなんだろうな。
珍しくテンション高いし、本当に嬉しそうだもんね。
でもダンゴムシ…
「喜んでもらえて良かったよ」
潤くんも智が喜んでるのは嬉しいんだろうけど。
絶対虫苦手なんだと思うな。
ダンゴムシを見る顔がひきつってるもん。
俺と同じだと思うよ。
智たちの様子をぼんやり観察してたら
「カズは虫が苦手なの?」
「大大大っきらいっ!!!」
翔ちゃんに聞かれたから、力いっぱい答える。
触るのはもちろん、見るのもぞわぞわするし。
あのダンゴムシもオモチャって分かっててもやだ。
「虫なんか滅びればいいのに!」
「でも虫がいなくなると人間も存続できなくなるらしいよ」
「うぅ…」
俺は本気でそう思ってるけど。
博識な翔ちゃんに真顔で正論を言われちゃったら、もう何も言えない。
「翔ちゃんも意地悪だ…」
「ごめんね」
ちょっと拗ねたら、翔ちゃんはくすくす笑いながら謝って、頭をポンポンってしてくれた。
智とは違うけど、安心する手。
それ以上にドキドキもしちゃうんだけど。
「虫からも俺が守ってあげるから大丈夫だよ」
ちょっと油断してたら、突然の至近距離での王子さまスマイルに心臓が止まるかと思った。