第14章 誕生祝い to SATOSHI
翔ちゃんの腕の中で深呼吸してから、顔を上げて智をキッと睨む。
見るのは智の顔だけ。
ダンゴムシは視界に入れない。
「智のばか!」
「ごめんごめん、可愛い反応するからついね」
俺が怒ってるのに、智はへらへら笑ってて。
絶対ごめんって思ってないじゃん!
「好きな子いじめる小学生かよ」
「あはは!」
呆れたような潤くんの言葉にも、智は爆笑してる。
「あははじゃないよ!智なんてきらい!」
ムカついて声が大きくなったら智は笑うのをやめた。
いつもの柔らかい微笑みを浮かべて、俺の頭を撫でてくれる。
それだけでイライラが引いていくから不思議だ。
イライラさせたのも智なのに。
「ごめんね?俺は大好きだから、きらいなんて言わないで?」
「むぅ…」
暴言吐いても本気じゃないって分かってくれて。
そんな俺でも大好きだよって言ってくれる、俺の大切な親友。
「………ほんとは俺も大好きだもん」
ちっちゃく呟いたら
「知ってる」
得意げにドヤ顔するから、やっぱりムカついて。
「悔しい!ばか!」
「んふふ」
もう一回怒ってみたけど、智は嬉しそうに笑うだけだった。
それまで傍観してた雅紀が、もう落ち着いたと思ったのか
「智、俺にも見せて!」
「いいよ!」
智と同じに子どもみたいに目をキラキラさせながら興味津々で近づいて行く。
うっかり雅紀を目で追っちゃったらダンゴムシが視界に入った。
「うぇー、見ちゃった…」
見ないように頑張ってたのに…!
急いで目を逸らして嘆いてたら、翔ちゃんがふふって笑った。