第14章 誕生祝い to SATOSHI
そんなことを考えてるのに、それでもなかなか繋いだ手を離せないでいたら
「ニノ!あれ!見たい!」
急に智に引っ張られてよろけた。
そのまま連れて行かれたのは、たくさんガチャガチャが並んでるコーナー。
「すごいいっぱい!」
「なんかワクワクするね!」
珍しく智のテンションが上がってる。
1つ1つ目をキラキラさせながら眺める姿は子どもみたい。
そのうち、あるガチャガチャの前で智が動かなくなった。
なんか…ダンゴムシ…?
俺には何がいいのかさっぱり分かんないけど。
「やりたいの?」
「…うん…ううん…うん…」
聞いてみたら、はっきりしない答えが返ってきて
「どっちよ?」
思わず笑ってしまう。
目はダンゴムシに釘付けだし、絶対やりたいんじゃん。
そしたら、いきなり俺たちの後ろからにゅって手が伸びてきて、智が真剣に見てるガチャガチャにお金を入れた。
びっくりして振り返ったら潤くんだった。
「ほら、智、回しなよ」
「ええっ?なんで?」
「だってやりたそうだったから」
さらりとこんなこと出来るなんてさすが潤くん!
爽やかな笑顔で勧められても智は戸惑ってたけど
「じゃあ誕生日プレゼントってことで。絵のお礼も兼ねて!な?」
潤くんは引かない。
強い目力と男前な笑顔で言葉を重ねてくる。
智はしばらく迷ってるみたいだったけど
「…うん、じゃあ…お言葉に甘えて…」
圧倒されそうな眼力に負けたのかおとなしく頷いた。
「お礼なのにこんな安いもんでごめんな」
「ううん、嬉しいよ…ありがと///」
潤くんはちょっと申し訳なさそうだけど、智は照れたようにはにかんだ。めっちゃ可愛い。
てゆーか、いつの間にか良い雰囲気になってる。俺、邪魔じゃない?