第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーNsideー
時間潰しで色んなお店を覗く。
雅紀や潤くんは楽しそうに洋服とか見てるけど、興味のない俺はちょっと退屈で。
雅紀たちを待ってる間、同じく退屈なのか何となく眠そうな智の顔を観察したりしてた。
まつ毛、長いな。
鼻はすーっとしてて。
相変わらず整った顔。
ぼーっとしてても綺麗で可愛いなんてずるい。
そりゃ、翔ちゃんも可愛いって思うよね。
さっきの翔ちゃんの言葉はちっちゃいちっちゃいモヤモヤになって、まだ胸に残ってる。
たぶん翔ちゃんは純粋に思ったことを言っただけ。
だって智と潤くんがお互い想い合ってるのは翔ちゃんも知ってるから。
だからそこに他意はないはず。
智が可愛いのは事実だもん。
翔ちゃんは事実を口にしただけだもん。
分かってるのに。
俺以外の人を可愛いって言ってほしくないって。すごくワガママなこと思ってる。
それに、もし翔ちゃんが智にさっきみたいなことしてほしいって言ったらどうしようって。
智がいいよって言ったらどうしようって。
絶対ないって思うのに、どうしてもちょっと不安で。
智から離れられない。
だって俺がくっついてたら翔ちゃんは智に近付けないだろうから…なんて、性格の悪い自分がつくづく嫌になる。
でもそんな汚い心の俺も智は優しい笑顔で受け入れてくれて。
俺の好きにさせてくれて。
智と一緒にいると、すごく癒される。
やっぱり智からはマイナスイオンが出てるんだと思う。
モヤモヤも醜いドロドロも溶けて消えてくみたいな気がする。
居心地が良くて、ますます智から離れられない。
でもそろそろ潤くんに返してあげなきゃだよね。
智だってせっかくの誕生日祝いなんだから好きな人と過ごしたいだろうし。
俺の自分勝手な理由でいつまでも智を縛ってちゃダメだよね。