第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーSsideー
「ペンギンのツリーだ♡」
「可愛いね♡」
「飾りが海の生き物ばっか!」
「水族館だもん」
館内はもうクリスマス仕様になっていて。
カズと智くんがクリスマス飾りを見つけてはキャッキャと喜んでいて可愛い。
「智、写真撮ろ♡」
「うん♡」
フォトスポットみたいなところもたくさんあって、2人で自撮りしたりしてて。もちろん5人での写真も撮ってはいるけど。
さっきからずっとカズは智くんにべったりだ。
元々仲の良い2人だし、スキンシップも多くてよくくっついてるけど。
今日はいつも以上に距離が近い。
周りにたくさんいるどのカップルよりも近い距離でベタベタとイチャついてる。
でも、こんだけベタベタしてても不思議と2人に恋人感は全くなくて。
子犬とか子猫とか小動物のじゃれ合いみたいな微笑ましさしかないけど。
それでも、その距離感にはどうしても嫉妬してしまうし、出来るならば智くんの位置には俺がいたいと思ってしまう。
さすがに2人の間に無理やり割って入るなんて出来ないし、何より誕生日の智くんがすごく楽しそうに幸せそうに笑ってるから。
俺はただ黙って見てる。
こうしてるとカズと仲良くなる前に戻ったみたいな気持ちになる。
入学直後のカズと智くんには2人だけの世界があって、近寄りにくい空気感みたいなものもあって。
ただ見ていることしか出来なかった日々。
それを思えば今は信じられないくらい俺もカズの近くにいる。
それでも満足出来ない俺はかなり欲深いんだろうな。
俺はカズの一番になりたいし、カズもそう言ってくれたけど。
やっぱり智くんには敵わない。
カズの一番への道のりはまだまだ遠い。