第14章 誕生祝い to SATOSHI
「うわぁぁぁぁぁ♡本当にペンギンが空飛んでる!ビルの上!不思議ー!」
念願の空飛ぶペンギンを見たニノは今日一番の笑顔になった。
目をキラキラさせて、“わー♡”とか“きゃー♡”とかひっきりなしに歓声を上げてる。
まぁ、それは俺も同じで。
ニノと一緒に声を上げながら、本当にビルの上をペンギンが飛んでるみたいな不思議な光景から目が離せない。
「すごーい!可愛いー♡」
「天気良くてよかったね」
「うん♡」
「日が暮れるとまた雰囲気変わるみたいだよ。夜にまた来ようか?」
「うんっ♡」
はしゃぐニノに翔くんはデレデレで。
確かに翔くんの提案にニコニコ喜ぶニノはペンギンよりも可愛いけど。
「楽しみだねー、智♡」
その可愛いニノはまだ俺にべったりくっついてるままだ。
俺の腕に絡みついて可愛く笑うニノを、翔くんは微笑ましそうでもあり、羨ましそうでもあり、何とも表現しにくい顔で見てる。
可愛いニノを独占できて、ちょっとだけ優越感を感じちゃってる俺は性格悪いのかな。
でも今日は俺の誕生日祝いだからね。
いつもは翔くんがニノを独り占めしてるんだから、これくらいは許してよ。
だって俺もニノのこと大好きだから。
この気持ちは翔くんにも負けない自信あるもん。
それに、そもそも俺からくっついてるわけじゃないから。
ニノがまるでしがみつくみたいに張り付いて離れないんだよ。
それを俺は無理に剥がそうとは思わないし、むしろニノがこうやって甘えてくれるのは嬉しいし。
きっと明るく振る舞ってても、まださっきの翔くんの発言が心のどっかでわだかまってるんじゃないかなって何となく分かるから。
だからニノの気が済むまで好きにさせてあげようと思ってる。