第14章 誕生祝い to SATOSHI
「ニーノ!」
目を合わせてくれないから、ニノのほっぺを両手で掴んで無理やりこっちを向かせる。
逃げられないようにおでこもくっつけた。
ちゃんと分らせないと、またニノは勝手に誤解したまま落ち込んでっちゃうから。
「そんな拗ねないの!俺がやっても翔くんが喜ぶ訳ないでしょ!」
「喜ぶよ…智可愛いもん…」
「ニノのが可愛いでしょ!もう…」
ぽつりと呟いたニノの瞳が涙でゆらゆらしてるのが間近に見えて。
「泣かないの」
「…泣いてないもん」
「ふふ、そっか」
目はうるうるだけど、強がり言えるならまだ大丈夫かな。
「翔くんの一番はニノだよ。翔くんがそう言ってたでしょ?自信持ちなよ」
「そんなの…」
「あとでやってみよ。そしたら分かるから。翔くんは絶対喜ぶよ」
自分の目で見たらニノの不安も消えるでしょ。
「喜ぶ?絶対?」
「絶対!ね?」
きっぱり断言したら、ニノは少し考えてから小さく頷いた。
「よし!ペンギン見に行こ!」
これ以上ごちゃごちゃ考えないように気持ちを切り替えさせてあげたくて、ニノの腕を引っ張って歩き出したら
「うん!行こ!」
ニノが俺の腕にぎゅっと抱き付いてきた。
ちらりと見えた翔くんはものすごい顔してたけど。
悪気はなくてもニノの前で他の人を褒めて、ニノを悲しませた罰だよ。
ニノににっこりと笑い掛けながら、翔くんに見せつけるようにぴったりくっついた。
そのまま歩いてたら
「お前ら勝手に動くなよ。迷子になるぞ」
後ろから潤の小言が飛んできて。
「潤お母さんが怒ったね」
「潤お母さんこわいね」
ニノと小声でクスクス笑ってたら
「お母さん言うな!」
「きゃー!」
しっかり聞こえてたらしい潤に怒られて、ニノと声を上げて笑った。