第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーOsideー
無心でアシカを見てたら、ふいに耳に届いた潤たちの会話。
それはさっき俺が潤にくっついてた話みたいで。なんか変に盛り上がってて。
俺たちに隠す気があるんだかないんだか分かんないけど、この距離だから意識すれば全部じゃないけど途切れ途切れに聞こえてくる。
なんで改めてそんな話してんだよ!
猛烈に恥ずかしいんだけど!
あれは…なんか潤がどっか行っちゃうかもって思ったら無意識に手が出ちゃっただけで。すぐ離すつもりだったんだ。
でも潤が離すなって言うからさ。
そりゃ俺だって、嫌だったわけじゃないけどさ。
まぁ手を繋ぐよりかは恥ずかしくなかったし…
いや、嘘。やっぱり恥ずかしかった。
思い出すだけで顔が熱くなるもんな。
赤くなってるであろう頰を手でパタパタと仰いでたら、ふと違和感に気付いた。
いつもならこんな状態の俺を嬉々としてからかうはずのニノが妙に静かだ。
「ニノ?」
不思議に思って覗き込んだら、ニノは口を尖らせて拗ねてるみたいな顔をしてた。
「どうしたの?」
「……智が可愛いのなんて俺が一番知ってるもん」
どうやら、翔くんが俺のことを可愛いって言ったのを言葉通り受け取っちゃったみたいだ。
「翔くんのあれは違うよ?分かるでしょ?」
「………」
あんなのどう聞いても、ニノに同じことしてほしいって、ニノがやったら可愛いって。そう言ってただけじゃん。
でもニノは黙りこくって返事をしない。
「翔くんは羨ましがっただけ。ニノにしてほしいんだよ」
「…可愛い智にやってほしいんじゃないの?」
宥めるように言い聞かせても、ニノは拗ねてぷいっとそっぽを向いてしまう。