第2章 友だち
ーAsideー
ニノの話を聞いて、怒りと衝撃で何も言えなかった。
まさか昨日そんなことがあったなんて。
ニノは相手の名前を言わなかったから、誰だか分からないけど。
今すぐそいつの所に行ってぶん殴ってやりたかった。
握り締めた拳が震える。
それに、自分にも猛烈に腹が立つ。
昨日ニノの様子がおかしかったことに、俺は全然気付いてなかった。
風ぽんにニノと智を狙ってるやつがいるかもって聞いた時も。
一応忠告はしたけど、まさか本当に襲ってくるやつがいるなんて思ってなかった。
そんなことあるわけないって、どこかで思ってたんだ。
もっと真剣に受け止めておけば良かった。
後悔ばかり出てくる。
智も同じ気持ちなのかな。
苦しい顔して、震えるニノを抱き締めている。
でもニノはニコッと笑った。
まるで俺たちを安心させるように。
櫻井くんが助けてくれたんだと言う。
二人が突然仲良くなった理由が分かった。
どんな偶然か知らないけど、そこに櫻井くんがいてくれて本当に良かった。
最悪の事態になる前にニノを助けてくれて、本当に本当に良かった。
好きになっちゃったと言うニノはとても可愛くて。
俺の胸はまた痛くなったけど。
ニノが今日も笑っていられるのは櫻井くんのおかげなんだ。
櫻井くんがいたから、今日も隣で支えてくれてるから、だから笑顔が見れるんだ。
智が言ってた意味が分かる。
ニノが幸せならそれでいい。
笑っててくれたらそれでいいんだ。
俺もニノの笑顔が見たいから。
これからもずっと笑っててほしいから。
ニノのこと応援しよう。
俺の胸は痛いままだったけど、自然とそう思うことができた。