第2章 友だち
「男なのに気持ち悪いって思う?」
そんな不安そうにしなくていいよ。
そんなこと思うわけない。
だって俺も雅紀もニノが好きだから。
「思わないよ」
安心させるように微笑む。
「翔ちゃんすごく優しくて···助けてくれたあと送ってくれてね。心配だから学校でもしばらく側にいてって言ってくれたんだよ」
それで今日はずっと一緒にいたんだ。
なんであんなにべったりくっついてるのかと思ったけど、翔くんニノのこと守ってくれてたんだ。
「だから一緒にいるだけだよ。付き合うとかあるわけないから···翔ちゃんあんなに素敵なんだもん。俺なんか相手にされないって分かってる」
ニノの眉毛が悲しそうに下がった。
「でも、ちょっとの間だけでも隣にいられたらって思っちゃったんだよ。友だちでいいから近くにいたいって。翔ちゃんの優しさに甘えてるって分かってるけど···今だけでもいいから翔ちゃんの隣にいたいんだ」
ニノはそう言うけど、普通優しいだけでそこまでする?ただのクラスメイトに?
俺の目には、翔くんもニノのこと好きに見えたけどな。
「今だけってことはないんじゃない?」
絶対両想いだもん。
「きっとずっと一緒にいられるよ」
「また根拠のないこと言って」
ニノが呆れた顔をする。
「でも智が言うと本当になりそうな気がする」
ニノはもう一度俺にギュッと抱きつくと
「ありがと」
小さく呟いてパッと離れた。
恥ずかしかったのか耳が赤い。
「翔ちゃんたち待ってるから早く行こ」
「あ、待ってよ」
小走りになるニノを微笑ましく思いながら、急いで後を追った。