第14章 誕生祝い to SATOSHI
「あれ?ニノたちは?」
キョロキョロ周りを見た智が首を傾げる。
やっぱり気付いてなかった。
あの状態じゃそうだろうと思ってたけど。
「智が集中モードに入ってたから先行ってもらったよ」
「え?ごめん!」
「いや、謝ることじゃないから」
「でも…」
なんだか申し訳なさそうに謝ると、しょぼんと肩を落とす。
やっぱりニノと一緒にまわりたかったのかな?
「まだ別れてそんなに経ってないから、たぶん急げば追いつけるよ?追いかける?」
「え…うーんと…」
智が眉を下げながら俺をちらりと見る。
その視線の意味はなんだ?
単純に悪いと思ってるだけならいいけど。
せっかくの誕生日祝いなのに俺と2人だとつまらないとかやだとか思われてたら凹むな。
「…待ち合わせの約束とかしてる?」
「アシカショーは智と一緒に見たいから絶対連れてきてね♡byニノ」
「ふはっ」
聞かれたから、軽くニノの口調を真似ながら小首を傾げてみたら智が吹き出した。
「似てないー!でも微妙に可愛いかも?」
「なんで疑問形なんだよっ」
よほど面白かったのか智はケラケラ笑い続けてる。
そりゃね、智のニノ真似みたいな可愛さは俺にはないだろうけど。
笑い過ぎじゃね?涙出てんじゃん!
でもしばらく笑った智からは申し訳なさみたいなのが消えてたから、それなら笑われた甲斐もあるだろう。
「約束してるなら無理に合流しなくていいや。ゆっくり見たいし。あ、でもみんなと一緒が良ければ潤は先行っていいよ」
智は目元を拭いながら普通にそんなことを言うけど。
いやいやいや!
こんな集中したら周りが見えなくなるやつ怖くて1人に出来ねーよ。
そうじゃなくても可愛いんだから。
なんかあったらどうすんだ!
「いや、智と一緒にいるよ」
「いいの?」
「俺は智と一緒にいたいんだよ」
だから自ら立候補して残ったんだ。
智は少し照れたように頬を赤らめたけど
「…ありがと。じゃあ一緒にまわろ」
嬉しそうににこっと笑ってくれて。
それがめちゃくちゃ可愛かった。