第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーSsideー
潤たちとはショーで待ち合わせる約束をして別れた。
「行こっ♡」
カズが俺と雅紀の手を引っ張って歩き出す。
水族館に入ってからずっとご機嫌なカズは、子どもみたいに無邪気にはしゃいでいて本当に可愛い。
くらげのトンネルみたいな場所で足を止めて
「くらげー♡いっぱいいるー♡ふわふわー♡きれーい♡」
楽しそうに水槽を覗き込んで目をキラキラさせていたかと思えば
「うぇー!よく見ちゃうとやっぱり気持ち悪いかもー!」
急に眉をしかめながらキモイコワイと騒ぎ出す。
表情がくるくる変わって忙しい。
なんて可愛い百面相なんだろ。
ずっと見てられるな、これ。
本当に怖いのか、繋いだ手にしがみつくみたいにくっついてるのも可愛くて。
顔がデレてるのが自分で分かる。
でもカズがめちゃくちゃ可愛いから仕方ない。
ただ、可愛いカズとくっついていられて幸せいっぱいなのと同時に、なんとも言えない複雑な気持ちもある。
カズの向こう側には雅紀がいて。
雅紀もカズと手を繋いでいて。
カズを真ん中に雅紀と3人で手を繋いでるこの状況…
本音を言えばカズが俺以外のやつと手を繋いでるのは嫌だ。ものすごく嫌だ。
例えそれが雅紀でも。
カズにとって雅紀が智くん同様に特別な存在なのは知っているのに。
我ながら猛烈に心が狭くて嫌になる。
雅紀はなんだか申し訳なさそうな視線を俺に向けていて。
むしろ気を遣わせてしまって謝るべきなのは俺なのに。
とりあえず気にしないでくれと目で伝えて笑い掛けてみたら、雅紀の表情も少し緩んだ。
というか、やっぱり雅紀にも俺のカズへの気持ちは完全にバレてるんだな…