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キミのとなりで【気象系BL】

第14章 誕生祝い to SATOSHI



何となく距離を取っていたら

「はい、雅紀も」

ニノがパッと俺に向かって手を差し出した。
翔くんと繋いでない方の手。

「は…?」

意味がわからず、その手を見つめてしまう。

「手!雅紀が迷子になるよ!」

もしかして俺とも手を繋ごうとしてんのか?
え?なんで?

ちょっと理解が出来なくて、その手を取れずにいたら、ニノがむくれた。

「なんだよ、俺と手繋ぐのイヤなのかよ!」
「嫌って訳じゃ…」

嫌なわけない!むしろ嬉しい!
でもニノはいいのか?翔くんは?

どうしても躊躇いがあって、返事もせず手も出せずにいたら

「俺とがイヤなら、翔ちゃんと繋げばいいじゃん」

すっかりふてくされたニノに投げやりに言われて、思わず翔くんと目を合わせた。

翔くんはなんとも言えない顔をしてて。
たぶん俺も似たような顔をしてるんだろうけど。

なんだかおかしくなってプッと吹き出してしまった。

笑ったら、ごちゃごちゃ考えてるのが何だかバカらしく思えて。

「ごめんごめん。ニノでいいよ」
「なんだよ、その言い方!俺がいいって言えよな!」

笑いながらニノの手を掴んでみたら、ニノはまたプリプリ怒ってたけど、俺の手もきゅっと握ってくれた。

ニノと手を繋ぐなんて小学校の低学年の時以来じゃないかな。

それこそニノを好きだと自覚してからは初めてのことで。

なんか無駄に緊張する。

小さくて柔らかい可愛らしい手。
自分と同じ男の手とは思えない。

あったかいその手をそっと握り返してみたら、ニノが満足げに笑った。

その笑顔に気持ちがふわふわとしてくる。

翔くんには申し訳ない気持ちもあるけど、今だけだから。これ以上は求めないから。

今だけこの幸せを掴んでいさせて…

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