第14章 誕生祝い to SATOSHI
ふと、昔の記憶が蘇ってくる。
小学校の遠足で、水族館に行った時のこと。
もちろんここじゃない別の水族館だけど。
その時もニノは今みたいに目をキラキラさせて水槽に張り付いて、でも大きい魚には怯えてて。
いつも可愛くないことばっか言うニノが、その時はものすごく可愛く見えて。
怯えるニノを守ってやりたいって思ったりして。
今思えば、自覚はなかったけどその時にはもうニノのこと好きだったんだと思う。
「水族館久しぶりだな〜、もしかしたら小学校の遠足ぶりかも。雅紀覚えてる?」
懐かしい思い出に浸っていたら、急にニノが振り向いた。
記憶の中より成長したニノの顔。
いや、あんまり変わってないか?
ニノ童顔だからな…途中から成長止まってるんじゃない?
でも可愛さは確実に増したと思う。
「雅紀!聞いてる?」
ぼんやりそんなことを考えてたら、ニノに至近距離で顔を覗き込まれて、かなり驚いた。
「き、聞いてる!覚えてるよ!」
「本当〜?なんか怪しいんだけど。ま、雅紀の記憶力じゃ無理もないか」
すぐに答えなかったのを俺が覚えてないと捉えたのか、ニノが意地悪な顔をする。
「本当に覚えてるっつーの!」
たった今思い出してたところだし!
「ニノが今みたいに大きな魚にビビってたことまで覚えてるよ!」
ちょっとムカついたから意地悪返しをしたら、ニノがむっと口を尖らせた。
「ビビってないもん!雅紀のばか!」
「ばかって言うな!ばか!」
「ばかって言う方がばかなんですー!」
「お前が先に言ったんだろ!」
ニノが突っかかってくるからついムキになっちゃって、くだらない言い合いをしてたら
「やめろ!子どもの喧嘩か!」
「ほらほら、ちっちゃい子たちに見られてるよ?仲良くして」
潤に怒られて、翔くんにやんわりと注意された。