第14章 誕生祝い to SATOSHI
ーAsideー
智の誕生日祝いでやってきた水族館。
やっぱり三連休だから親子連れやらカップルやらで混んでて、入る前から行列。
まぁ分かってて来たんだから仕方ない。
仕方ないのに、一番来たがってたニノはすでに人の多さにちょっとうんざりした顔になってて。
「ニノが来たがったんでしょ?混んでて当たり前なんだからそんな顔すんなよ」
「分かってるもん!智のお祝いだから来たかったんだもん!混んでたっていいもん!」
つい嗜めるようなことを言っちゃったら、ニノがぷぅっと膨れた。
今日のニノも姉ちゃんスタイリストによるコーデらしく、とても可愛らしい。
女装じゃないのに女の子っぽいというか男っぽくないというか…性別を感じさせずにただただ可愛いんだよな。
通常より可愛さの増してるニノは怒っても拗ねても可愛い。
「混んでても楽しみだもん…」
「楽しみだよね、ペンギン見ようね」
「…うん」
「アシカも見るんだもんね」
「…うん」
膨れたままブチブチ言ってるニノを、デレデレの翔くんとニコニコの智がよしよしって撫でながら甘やかしてる。
それで少し気分が上向いたのか、ニノは口を尖らせるのをやめると
「ショーも見ていい?」
今度はこてっと首を傾げて2人に上目遣いでおねだりする。
「もちろん」
「いいよ、見ようね」
当然翔くんも智も断るわけがなくて、ニノもやっとにっこり笑った。
「いつものこととは言え、あいつらニノのこと甘やかし過ぎだよなぁ」
「ねぇ」
呆れた口調の潤と一緒に苦笑いしちゃうけど、なんだかんだ俺たちもニノに弱いってのは分かってる。
たぶん潤も分かってるだろうな。