第13章 体育祭
ーMsideー
一等でゴールテープを切った翔は、足を止めずにニノの元まで走って行った。
翔にとってはニノが本当のゴールだったんだろう。
ニノも翔に駆け寄って、翔がニノを高く抱き上げて。
ますます盛り上がるギャラリーたち。
こうなることを見越してニノを連れて来たであろう滝沢はやたら満足げだ。
今日はずっとこの2人のおかげで例年にないくらいの盛り上がりっぷりだったもんな。
仕上げと言わんばかりに、ドラマチックかつ劇的な勝利で終わるあたり、もうさすがとしか言えない。
まるでドラマのワンシーンのようなラブラブっぷりを周りに見せつけながら、そのまま2人の世界に入ってしまった翔とニノ。
かなり熱い勝負になったリレーの興奮と、優勝が決まったことへの悲喜交交、ラブラブな2人への羨望やら嫉妬やら、色んなものが混ざり合った歓声と悲鳴と。
全校生徒が見てると言っても過言ではない視線の数々。
それらを全く気にすることなく…というか全く気付きもしない2人の神経は一体どうなってんだ?
本来なら翔がゴールした瞬間に、翔を取り囲んで勝利を喜び合いたかったであろうリレーチームの仲間たちも、優勝を喜び合いたかったであろう今日一日共に戦ってきたクラスメイトたちも。
翔たちを取り囲むよう近くにはいるものの、周囲を全く意に介さない2人に声を掛けることすら出来ずにいる。