第13章 体育祭
ドキドキとちょっぴり切なさが混ざった気持ちでぼんやりしたまま翔ちゃんたちを見送ってたら
「ニノも行くよ!」
いきなりタッキーに腕を引っ張られた。
「え?どこに?応援は?」
もうリレーが始まっちゃうのに?
翔ちゃんたちの応援はどうするの?
意味がわからず戸惑って動けないでいたら
「するよ、特等席でね」
タッキーが楽しそうに笑った。
「え?ちょ…」
タッキーに腕を引かれ、斗真や翼に背中を押されて、強引に連れてこられたのはリレーのゴール近く。
「翔をゴールで迎えてやってよ」
にこやかにそう言われても困ってしまう。
「アンカーは3年生でしょ?」
練習見てたから知ってるもん。
アンカーは3年生。
ここにいても翔ちゃんは来ない。
でもタッキーはにこにこしたままだ。
「今日の翔と潤の活躍を見て順番変えたらしいよ。トップバッターが潤、アンカーが翔だって」
「そうなの?」
こういうのって最高学年がアンカーなんだと思ってた。
でも確かに今日の翔ちゃんと潤くんは絶好調に無敵だもんね。
「ニノがここで待ってたら、翔は絶対1位でゴールするよ」
「なんで?」
「翔も喜ぶし、絶対盛り上がるから」
「盛り上がる?なにが?」
俺のいる場所が翔ちゃんや、ましてや何かの盛り上がりに関係あるの?絶対ないよね?
「ま、いいからいいから!応援しようぜ!」
疑問しかないのに、首を傾げても答えはもらえず。
すぐに入場が始まって、結局うやむやになってしまった。