第13章 体育祭
ーNsideー
午後も翔ちゃんと潤くんは絶好調だった。
うちのクラスは2人が出た競技は全部勝ってる。
でも体育祭は学年縦割りのチーム戦だから、うちのクラスだけ勝ってればいいってわけじゃないみたいで、まだ優勝できるかは微妙な感じ。
正直、俺は優勝とかどうでもいい。
でも翔ちゃんがあんなに頑張ってるんだもん。
ちゃんと良い結果として返ってきたらいいなとは思う。
今も競技の中心で活躍してる翔ちゃん。
みんなの声援を一身に受けて、それに応えて成果をあげて。
キラキラ輝いてて眩しい。
でも、ちょっと遠くに感じてさみしい。
そんなに頑張らないで
これ以上注目されないで
ずっと俺の隣にいて
俺のことだけ見ててよ
…なんて。
叶うはずない願いごと。
「俺に本当に力があればかけちゃうのにな……翔ちゃんが俺のこと好きになる呪い…」
「ふふっ」
ちっちゃく呟いてみたら、智が笑った。
笑うだけで肯定も否定もしてくれないから、それがどういう種類の笑いかは分かんなかった。
視線を落とせば、目に入る靴紐。
不器用な翔ちゃんらしく縦結びになっちゃってて、それにまたキュンとなる。
足先から幸せな気持ちを運んでくれる翔ちゃんのちょうちょ結び。
王子さまみたいな翔ちゃんにこんなに仲良くしてもらって、優しくしてもらって。
それでももっとを求めてしまう俺は欲張りだ。
これ以上を望んだら、それこそバチが当たっちゃうね。