第13章 体育祭
ニノの呪いしっかりかかってるじゃん!
偶然なんだろうけど、すげータイミングだな。
「ええっ!?呪いってなに!?」
あまりにもニノが堂々と言い切ったからか、雅紀がワタワタしだして
「雅紀ね、こわがりなんだよ」
智が面白そうにこそっと教えてくれた。
「俺たちを笑ったバチが当たったんだ!」
「だー!謝るから!呪いってなんだよ!?解いてくれ!!」
悪役みたいにニヤリと笑うニノに、半泣きの雅紀が縋っていて。
どうやら本気でビビってるらしい様子に笑いがこみ上げてきた。
「ぶくくっ…」
それは俺だけじゃなかったみたいで。
見れば翔も智も、さっきまでプリプリ怒ってたニノまで笑ってて。
キョトンとする雅紀をよそに4人でひとしきり笑って。
ニノが呪いのネタバラシをして、心底ホッとした様子の雅紀にまた笑って。
それで、さっき笑われたのはチャラにした。
雅紀が戻っていって、そろそろ午後の競技が始まるって頃
「ニノも靴紐ほどけそうだよ」
智がニノの足元を指差した。
「俺にも呪いが跳ね返ってきた…」
ニノが拗ねたように呟くのがおかしくて、また少し笑ってしまう。
「ははっ…踏んで転んじゃったら大変だ」
翔は笑いながらスッと跪くと、当たり前のようにニノの靴紐に手を伸ばした。
「翔ちゃんっ!自分で出来るよっ…」
「いいからいいから」
真っ赤になって焦るニノを気にせず、翔は紐を結んで立ち上がった。
「ありがと、翔ちゃん///」
「どういたしまして」
恥ずかしそうにお礼を言うニノに、翔がにっこり微笑む。
翔の結んだ紐は縦結びになってしまっている。
でもニノはその不器用な結び目を愛しそうに見つめてた。嬉しそうに、ずっと。