第13章 体育祭
2人の応援のせいかは不明だが、バスケ部は一位を逃し、剣道部は最下位を回避し、部活対抗リレーは盛り上がりに盛り上がって終わった。
「面白かったね!」
「いい勝負だった!」
楽しかったらしい智とニノが興奮してきゃっきゃとはしゃいでいたら
「ちょっと!ニノ、智!ひどくない?!なんで応援してくれなかったのさ!」
ユニフォーム姿のままの雅紀がわざわざ文句を言いにやってきた。
「ひどくないもん!雅紀が俺たちのこと笑うからだろ!」
ニノがべーっと舌を出す。
子どもか!
「別にニノを笑ったわけじゃ…」
「うそ!こっち見て笑ってたじゃん!」
雅紀がもごもごと言い訳をするが、そんなんじゃニノの機嫌はなおらない。
不機嫌を前面に押し出してるニノに、文句を言いにきたはずの雅紀の方がタジタジしだした。
「あれは…ほら…ねぇ…」
雅紀の視線がチラリと俺と翔に向く。
「あれ?取っちゃったの?面白かったのに」
「面白いってなに?!」
俺たちがリボンをはずしたことに気付いてつい本音がポロリしたっぽい雅紀を、ニノがすごい目で睨みつけた。
「だって…いや、ごめんって!そんな怒るなよ」
まだ何か言いたげだった雅紀も、ニノが頰をパンパンに膨らませてるのを見て、それ以上言うのは諦めたようだ。
謝っても怒りの解けないニノに、雅紀が困ってこちらを向いたけど。
絶対助けてやらん!
すると、智がのほほんと雅紀の足元を指差した。
「雅紀、靴紐ほどけてるよ?」
「あ、本当だ」
雅紀は何でもないように、しゃがんで紐を結び直そうとしたけど。
「それ呪いだから!」
ニノは勝ち誇ったように言い放った。