第13章 体育祭
絶対智とニノのことは笑ってないと思うけど、声が聞こえない今の状態じゃニノたちにはそこまで分かんないんだろう。
「もうバスケ部なんて応援してあげないもん!」
すっかりヘソを曲げたようで、プンプン怒ってる。
「靴紐がすぐほどける呪いかけてやる!」
地味に嫌な呪いだな!
しかもニノが言うとなんだか本当にかかりそうな気がするから怖いぜ。
「運動部ってあんなにたくさんあったんだねぇ」
「知らなかったねー」
すっかり応援する気をなくしたらしいニノと智は席に座って入場行進を眺めながらのんきにおしゃべりを始めた。
「もうこれ取っていいかな」
「いいんじゃね?」
翔とこっそり前髪のリボンをはずす。
俺たちは一体なんのために…
またため息が出る。
ただの笑われ損だったじゃねぇか!
マジで恨むぜ、雅紀…!
「みんなユニフォームで走るんだね」
「剣道部は大変そう」
「あれじゃ早く走れないよね」
部活対抗リレーは各部のユニフォームで走るのがルールで。
雅紀たちバスケ部とかサッカー部とか、そういうのは問題ないけど。
確かに、剣道部は袴な上に面やら胴やら防具も一式身につけるから大変そうだ。毎年順位が低い印象が強い。
「よーし!俺たちは剣道部を応援してあげよ!」
「そうだね!そうしよ!」
剣道部に同情したのか、バスケ部への当て付けか。
2人は再び立ち上がると剣道部の応援を始めた。
「頑張れー!剣道部ー!」
「行けー!剣道部ー!」
2人の応援を受けて剣道部の連中が色めき立つ。
反対に他の部はざわついて。
雅紀たちは明らかにショックを受けてる。
俺たちを笑った罰だ。