第13章 体育祭
「なんだかんだ潤もニノに弱いよねー」
「カズの可愛さは無敵だな」
背後で翔と智がヒソヒソ話してるのが聞こえて。
イラッとして思わず振り向いたら
「潤が可愛くなってるー!」
「似合わねー!」
翔に指さしてゲラゲラ笑れた。
でも人を笑ってる翔も頭にリボンがついてるわけで。
「お互いさまだからなっ!」
言い返したら、翔は微妙な顔をして笑うのをやめた。
互いをじっとりした目で睨んでいたら
「なんで見つめ合ってるの?可愛いからお互いに見惚れてるの?」
ニノが不思議そうに首を傾げながら俺たちにポンポンを押し付ける。
「見惚れてねぇ!ってか、可愛くもねぇから…」
「あ、出てきた!」
抗議しようとしたら、選手入場が始まってあっさり流されてしまった。
「雅紀ー!」
「まーさーきー!」
智とニノが雅紀の名前を連呼すると、聞こえたらしい雅紀が振り向いて。
嬉しそうにニノと智に手を振って応えて、そのまま視線を隣に移し…
俺と翔を見るなり盛大に吹き出した。
距離があるから何を言ってんのかまでは聞こえないけど、周りのバスケ部員たちに声を掛けてみんなしてこちらを見て爆笑してる。
そもそも雅紀のせいでこんな目にあってるっつーのに。
軽く殺意がわきそうになる。
「あいつ殴りてぇ…」
「激しく同意だ」
低く呟いたら、翔が真顔で頷いた。
「みんななんでこっち見て笑ってるの?」
「なんか俺たちバカにされてる?」
智とニノもちょっと不機嫌になった。