第13章 体育祭
ごちそうさまとみんなで手を合わせて。
空になった弁当箱を片付けた。
「あー、お腹いっぱい!幸せだー!」
「たくさん食べてくれてありがと」
見事にぽんぽこりんになった腹をさする翔に、ニノがクスクス笑いながらお礼を言うと
「お礼を言うのは俺だよ。こんなにたくさん美味しいものを作ってくれてありがとう。大変だったでしょ?」
翔はとても優しい顔でニノを見つめた。
ニノの目が少し潤む。
翔がちゃんと分かっていることに、なんだか安心した。
それだけでも全然違うと、俺は思う。
「全然大変じゃないよ。翔ちゃんが喜んでくれるかなって…翔ちゃんのこと考えながら作るの、楽しかったもん」
「ありがとう」
にっこり笑うニノの頭を翔が優しく撫でた。
2人とも穏やかな顔で本当に幸せそうで。
つられて俺まで笑顔になってしまうような、そんな優しい空気が流れていた。
ツンツンと服を引っ張られて、見たら智がじっと俺を見つめてた。
「潤もね、本当にありがとう。すごく美味しかったし…潤は競技もたくさん出るのに…早起き大変だったでしょ?でも潤の気持ち、すごく嬉しかった」
智が頑張って自分の気持ちを伝えようとしてくれる。
こういうのあまり得意じゃないって知ってるから、考えながら言葉を紡ぐその姿は余計に胸に響いた。
これだけで頑張りが全部報われてしまう。
「喜んでもらえたなら良かったよ」
くしゃっと智の頭を撫でると、くすぐったそうに笑った。
翔がよくニノののこと撫でてるけど、なんか分かるな。
可愛くて愛しくて無意識に手が伸びるんだ。