第13章 体育祭
それは明らかにみんなで食べることを想定してそうな量で。
潤も作ってきてくれたんだ…
「ありがとう、潤!すごく嬉しい!」
「どういたしまして」
素直に感謝を伝えたら、潤も嬉しそうに笑った。
「わぁ!和食ー!」
ニノの言う通り、潤のお弁当は和食中心で。
俺の好きなものがたくさん入ってる。
「智、愛されてるね♡」
今度はニノがコソコソと囁いてくる。
さっきの仕返しか?
潤の弁当は別に俺のためって訳じゃないんだし。
ニノとは違うし。
「………ばか」
とりあえず、さっきのニノと同じ言葉を返して、同じように叩いておいた。
「うまっ!カズっ、これ超超超うまい!」
「ふふ♡嬉しい♡」
箸が止まらないらしい翔くんは常にほっぺがパンパンになるくらい食べ物を口に詰め込んでて、なんかリスみたい。
ニノはそんな翔くんに嬉しそうに取り分けてあげたり、口の周りを拭いてあげたり、せっせと世話を焼きながら
「なんで蕎麦こんな冷えてんの?」
「あのね、タッパーに薄く水張って凍らせといてね、その上に…」
「ああ、なるほど!」
「麺つゆも凍らせといてー」
「保冷剤代わりか」
潤と主婦みたいにお弁当の情報交換をしてる。
そんな光景をのんびり眺めながら、潤の作った出し巻き卵をぱくりと頬張った。
うまい。
大好きなんだよなー、これ。
飯はうまいし、天気も良いし。
平和だな…
なんかすげぇ幸せだ…
しみじみとそんなことを思う。
「ちょっと智!お弁当食べながら寝ないでよ?」
「起きてるって!」
「うそ!目がくっつきそうだったもん」
確かに日陰を通る風が気持ちよくて、腹も満たされてきたから、昼寝するには最高の状態だけど。
ケラケラ笑うニノと、ニコニコ見てる潤と翔くんと。
今この時がすごく幸せだから、寝るなんてもったいない…なんて。
恥ずかしくてとても口に出せないことを考えたりした。