第13章 体育祭
「騎馬戦は怪我するかもって言ってたのに…大丈夫なの?」
さっきそう言って俺が騎馬戦にならないようにしてたのに、翔ちゃんはいいの?
「俺は大丈夫だよ。頑丈だからね」
「気をつけてね。もし翔ちゃんが怪我したら、俺…俺…」
翔ちゃんはあっけらかんとしてるけど、俺は万が一を想像しただけで心臓がぎゅっとなる。
思わず胸の辺りを押さえたら、翔ちゃんがその手を両手で包み込んでくれた。
「そんな顔しないで。怪我なんてしない…カズを悲しませるようなこと絶対しないから」
心配で揺れてしまう瞳を翔ちゃんがじっと見つめて、安心させるようにゆっくり言い聞かせてくれる。
「絶対?」
「うん、絶対」
「約束してね?」
「うん、約束する」
しつこく確認しちゃう俺に、翔ちゃんはふっと優しく微笑んで。
そのままそっと俺の手を取ると、指先にちゅっとキスをした。
………え?
えええーーーっ!??
なになになに?今のなに!?
触れたか触れないか分からないくらいだったけど、突然のことに頭が爆発するかと思った。
火を吹きそうなくらい顔が熱い。
もしかして本当に燃えちゃってるんじゃないかな。
「約束の証」
翔ちゃんはイタズラっぽく微笑んでるけど、それどころじゃないから。
もう、頭が真っ白になっちゃっててうまく働かない。
ああ、でも…
翔ちゃん、めちゃくちゃカッコよかった///
本物の王子さまみたいだったな///
ちょっとお姫さまになった気分///
熱に浮かされたみたいにボーッとしてしまった俺は、みんなにガン見されてたことにも気づかず。
目の前で優しく微笑むカッコいい王子さまにただ見惚れていた。