第13章 体育祭
「翔は相変わらず過保護だな」
「それだけニノのことが大切なんでしょ」
面白そうに翔ちゃんを見ながら、智と潤くんが笑ってるけど。
そんなことより
「ねぇねぇ、障害借り人競争って何?」
気になったことを潤くんに聞くと
「ああ、そのまんまだよ。障害物競争と借り人競争が合体したやつ」
簡単に教えてくれた。
「カリビトって?」
「借り物競争の人バージョンだな。例えば“メガネをかけてる人”とか」
「ああ!なるほど!」
音だけだと何だか分からなかったけど、説明してもらってわかった。
“人を借りる”で“借り人"ね。
「障害物競争の最後に借り人競争があって、その指定された人と一緒にゴールすんの」
なるほどなるほど。
難しくなさそうだし、ちょっと面白そうだ。
「カズ、勝手に決めちゃってごめんね」
決まって落ち着いたらちょっと冷静になったのか、翔ちゃんが申し訳なさそうに謝ってくれる。
「ううん、大丈夫。借り人競争なんて初めてだけど、面白そうだから楽しみだよ」
「それなら良かった」
翔ちゃんがしょんぼりしてたから気にしないでほしくて、ニコッと笑ったら翔ちゃんも安心したみたいに笑顔になった。
「翔ちゃんは何に出るの?」
「俺?何だろ?」
聞いてみたら、首を傾げる。
ええっ?俺のことはあんなに真剣に考えてたのに、自分のことはいいの?
「あ、騎馬戦と選抜リレーみたい」
黒板を確認して知ったらしい翔ちゃんは、種目が分かっても人ごとみたいな顔してる。