第13章 体育祭
ーNsideー
文化祭が終わってしまって、ちょっとさみしい。
毎日遅くまで残って準備して、大変だったけど確実にクラスメイトとの絆は深まって仲良くなれたし。
学校行事にこんなにがっつり真剣に参加したのは初めてだったけど、頑張った分すごく楽しくて達成感もあった。
だから余計に終わってしまって、力が抜けたというか。
祭りの後の寂しさってこういうことかって実感してる。
でも、ぼんやりする間もなく、次は体育祭がやってくる。
「騎馬戦とかそんな危ないの絶対ダメ!ダメダメ!カズが怪我したらどうするの?そんなの斗真とかにやらせときゃいいから!」
「うぉいっ!!」
翔ちゃんは今日も心配性だ。
全力で突っ込む斗真を完全無視して
「棒倒しなんてもってのほかだし···台風の目は振り落とされちゃうかもしれないし···」
なにやらぶつぶつ言いながら考え込んでる。
今日は体育祭の出場種目決め。
翔ちゃんが悩んでるのは自分のことじゃない。
俺の種目についてだ。
「何も出ないわけには行かないからな?」
どの種目でもダメとしか言わない翔ちゃんに、呆れ顔のタッキーが確認するように声をかける。
「分かってる……でも怪我をする可能性があるのは絶対避けたいし、ほかの男と触れ合うようなのは絶対許せないし…」
それでも真剣な顔で悩み続ける翔ちゃんにタッキーは大きなため息を吐いた。
「じゃあ障害借り人競争は?」
「ううーん…やっぱりそれが一番マシかなぁ…」
「はいはい!じゃあニノはそれで決まりね!」
しぶしぶ翔ちゃんが頷くと、タッキーは翔ちゃんの気が変わらないうちにとさっさと黒板に俺の名前を書いた。
どうやら、俺の意見は全く聞かれないまま、俺の出場競技が決まったらしい。
別にいいんだけど。
特に希望とかなかったし。
たぶん俺が何か言ってもあの状態の翔ちゃんには聞いてもらえなかっただろうしね。