第12章 文化祭
翔ちゃんの腕の中が心地良くて、そのままじっとしていたら
「お前ら何なの?何してくれてんの?」
翔ちゃんの冷たい声が聞こえて、びっくりして目を開けた。
見上げた翔ちゃんはものすごく怖い顔をしてる。
翔ちゃんが怒ってる。
俺が必要以上に怯えちゃったから、また心配掛けちゃったんだと思う。
「いやっ…何もしてないって!」
「ちょっと2人とおしゃべりしてみたかっただけで…」
近づいて来てた人たちが今度はジリジリと後ずさって行く。
「しゃべるだけなのにこんな近づく必要ないだろ」
「こんな大勢で取り囲んで…2人とも怯えてただろうが」
智の隣にいる潤くんもちょっと怒ってるみたい。
「いや、本当ごめん!」
「そんなつもりじゃなかったんだ、悪かった!」
2人の怒りに気圧されたのか、次々謝罪の言葉が飛び出すけど。
確かにちょっと意味不明な行動だったけど、別に何かされたわけじゃない。
俺が勝手に怖がっただけで、この人たちは悪くないから、謝る必要なんてない。
そう言おうとしたのに。
翔ちゃんは俺が口を開く間もなく
「俺の許可なく二度とカズに近づくなよ!」
強い口調のまま言い切った。
えええっ!?
俺の許可ってなに!?
まるで俺が翔ちゃんのものみたいな言い方///
翔ちゃんはそんなつもりで言ってなくても、俺はドキドキしちゃうんだけど///
今ので怖かった気持ち全部吹っ飛んでっちゃったよ。
しかもまだ抱き締められたままだから…
ドキドキしてるの翔ちゃんにバレちゃうかもって思うと、ますますドキドキしてしまう。