第12章 文化祭
「お疲れー」
「メイド喫茶大盛況だったみたいだな」
「俺行ったぜ」
「俺も俺も」
ニノとひそひそ話をしてる間に、気付けば周りにはたくさんの人が集まってきてた。
さっきまでガラガラだったのに、俺たちの周りだけやたら人口密度が高い。
「翔、今日いたか?」
「いや、今日は裏だったからさ」
「まさか潤までメイドとはな」
「うるせーよ」
潤と翔くんは大勢に囲まれても気負うことなく談笑してて。
「やっぱり2人とも人気者だねぇ」
並んでると目立つもんな。
2人の周りに自然と人が集まっちゃうんだろうな。
ニノは面白くなさそうに膨れてたけど
「大野くん!メイドよく似合ってたね!」
「へ?」
「二宮くんはどうしてメイドじゃなかったの?」
「え?」
何故か俺たちにまで話しかけてくる人たちが現れて、キョトンとした。
「大野くん可愛かったよ!」
「二宮くんのメイドも見たかったな」
ぐいぐい来られて、ニノの顔が少し強張る。
俺も同じような顔してるかも。
うぅ、潤たちのとばっちりが…
知らない人ばっかだし、どうしよ…
俺もニノも人見知りだし、社交性もないし。
こんな話しかけられても困ってしまう。
うまく返事も出来ずに2人で身を寄せ合って固まってたら、何故かみんなジリジリと近づいて来る。
なに?なんなの?
後ろは壁で逃げらんないし…
みんなにこやかなんだけど、寄ってくる意味が分からない。
俺はただ戸惑うだけだったけど、気付いたらニノが青ざめて震えていた。
マズい…!!
慌ててニノを背中に隠す。
俺でもなんかちょっと怖いし、いやな感じがするんだ。
きっとニノはもっと大きな恐怖を感じてる。
なんで寄って来んのか知らないけど、これ以上ニノに怖い思いさせないでよ。