第12章 文化祭
ーOsideー
文化祭が終わった。
今日は簡単な片付けだけで、明日が本格的な片付け日。
この後はうちの生徒だけが参加できる後夜祭だ。
仕事を終えたニノと翔くんと合流して4人で講堂に向かう。
「ねぇ、後夜祭って何するの?花火上がる?」
ニノがちょっとウキウキしたように翔くんに聞いてる。
「うちの学校は住宅街にあるから、花火もキャンプファイヤーもないよ」
「そっかぁ…」
翔くんの答えにニノはガッカリを隠せない。
花火が見たかったんだな。
ふふ、可愛い。
翔くんがニノの頭をよしよしと撫でながら説明を続ける。
「後夜祭は軽音部や有志のバンドが演奏して、それをみんなで聞いたり踊ったりして騒ぐんだよ」
「へぇ〜」
うわ、どうでもよさそう。
気のない返事に笑いそうになる。
ニノ、人が多いのも音がうるさいのも好きじゃないもんね。
まぁ俺も同じだけど。
「あとは、どのクラスが一番良かったかお客さんたちに投票してもらってね。その発表があるはずだよ」
「そんなのあるの?」
「うん、知らなかった?優勝すると賞品として食券がもらえるんだ」
「ふぅん」
また気のない返事。
自分には関係ないと思ってるんだろうな。
講堂に入ると、すでに結構な人数が集まってた。
「どうする?前の方行く?」
翔くんが心配顔をしつつ確認したら、ニノはふるふると首を横に振った。
「ううん、人混みニガテだから後ろがいいな…それでもいい?」
「もちろん」
ニノの返事に翔くんは明らかにホッとした。
「あんなむさ苦しい男どもの中にカズを連れて行くのは心配だったから良かったよ」
「むさ苦しいって」
翔くんの言い草にクスクス笑うニノは可憐で。
確かにニノに比べたら大抵の男はむさ苦しいなってこっそり思った。