第12章 文化祭
ーNsideー
翌日はカフェは午後からの担当だったから、午前中はまた翔ちゃんと文化祭をまわった。
また色んな人に声を掛けられたし、たくさん食べ物ももらって。
翔ちゃんがモテる事実は変わらないし、やっぱりちょっとモヤモヤはしちゃうけど。
何かをもらうたびに翔ちゃんと目が合って。
翔ちゃんは翔ちゃんで色々心配してるのかもって思ったらちょっと笑えて。
俺が笑うと翔ちゃんも笑ってくれるから、それだけで気持ちはふわっと軽くなった。
翔ちゃんとまわる文化祭は本当に楽しい。
飲食系だけじゃなくて、お化け屋敷に入ったり劇を見たり、翔ちゃんが一緒じゃなかったらこんなに色々見て回らなかったし、こんなに楽しくなかったと思う。
翔ちゃんはいつも俺の世界を広げてくれる。
学校全体がお祭りモードでみんな浮かれてて。
俺の心も一緒に浮かれてフワフワしてた。
でも交代の時間が近付くと、少しずつ気持ちが沈んでいくのが分かる。
だって、これからまた翔ちゃんは女の子に囲まれてキャーキャー言われるって知ってるから。
でも…
すごくやだけど、やだって言えない。
クラスのお仕事だもん。
仕方ないよ…ほんの数時間の我慢。
自分の仕事を真面目にやってたらすぐだよ。
そしたら一緒に後夜祭行くんだもん。
後夜祭は参加できるのうちの生徒だけだから、女の子たちは来れないもん。
自分を励ましながら教室に行くと、そこには何故かメイド姿の斗真がいて。
タッキーと一緒に俺たちを待ってたみたいだった。