第12章 文化祭
「翔のやつ、結局ニノに直接全部ぶちまけてんな」
黙って見てた潤は、くくっと笑いながら座った。
「どこから聞こえてた?」
「みんなニノのこと見てたって辺りから」
「そっか」
ちょっと安心する。
別に潤には聞かれても困らないけど、ニノは翔くんには聞かれたくないと思うから。
「翔にさ、ジュース買いに行く間ずーっとグチだかノロケだか分かんないのを聞かされてたんだぜ」
「ニノも似たような感じだよ」
2人とも同じようなことを思いながら今日過ごしてたのかもしれないね。
「ニノはさ、頭でごちゃごちゃ考えすぎて勝手に落ち込んでったりしちゃうとこあるから」
「ああやってお互い思ってること吐き出せるのはいいことだな」
潤にお茶をもらって、2人で食事を再開する。
お好み焼きを口に運びながら、まだ言い争ってるニノたちを眺める。
「2人がケンカするの初めて見たね」
「あれケンカか?」
「ちがう?」
「いちゃついてるだけじゃね?」
確かにね、聞こえてくるのは
「翔ちゃんがカッコいいから…」
とか
「カズは可愛すぎる…」
とか、お互いを褒める言葉ばかり。
「平和だね」
「だな」
潤と目を合わせて笑ってしまった。
あれだけあった食べ物もだいぶ減った頃、ケンカも落ち着いたようだった。
潤と喋ってて途中から全く聞いてなかったから、どういう流れだったのかは分からないけど
「明日も一緒にまわろうね♡」
「うん♡」
「後夜祭もね♡」
「うん♡」
気付いたらいつものラブラブに戻ってた。
お互い心の中のモヤモヤを吐き出して少しスッキリ出来たかな。
良かった良かった。
ニノは可愛い笑顔を俺にも向けてくれる。
「智も明日の後夜祭は一緒に出ようね♡」
「うん」
やっぱりニノが憂いなく笑っていてくれると、俺も嬉しかった。