第12章 文化祭
戻ると、机いっぱいに食べ物が並んでた。
「本当にたくさんだね〜」
「しかもバラエティに富んでる」
確かに粉物から甘いのからバラエティ豊かだ。
潤と感心してたら
「これでもね、色々食べて減ったんだよね」
「かき氷とかクレープとかね。とっとけないのはその場その場で食べたね」
ニノたちがなんてことない風にそんなことを言う。
「食べて減ってそれでもこの量ってすげーな」
潤は呆れと感心が混ざったみたいな顔をした。
「ちょこちょこ食べてたから俺もうけっこうお腹いっぱいなの。だからたくさん食べてね」
「ありがとう、いただきます」
ニノがニコニコしながら勧めてくれるから、素直に手を合わせた。
頑張って働いたからお腹は空いてる。
「あ!これ、バスケ部の焼きそば?」
「そう。よく分かったね」
「俺たちも午前中ごちそうになったから」
色んなものを少しずつ食べれて、バイキングみたいで楽しい。
「午後もお客さん多かった?」
「多かったよ」
「そっか、人気なんだね〜」
ニノは本当にお腹が空いてないみたいで、全然手をつけない。
一応お箸は持ってるけど、口を動かすのはおしゃべりだけ。
「智大丈夫だった?変な人に目をつけられたりしなかった?」
「何それ?何もないよ」
ニノが心配そうな目を向けてくるけど、心配される意味が分からない。
「本当?」
「あるわけないでしょ」
否定しても、まだ疑ってる。
いくら女装してたって男なんだから、何かなんてあるわけないのに…って、そこまで考えて思い出した。
ニノは女装なんてしてなくても怖いめに遭ってる。
やっぱりあの体験はまだニノの中で消えてないんだ…傷になって根深く残ってる。
だから俺のことも過剰に心配しちゃうんだろう。