第12章 文化祭
「どした?」
入口で喋ってたら潤もやってきた。
「あ、ごめん。片付け…」
「いや、もう終わったから大丈夫」
まだ片付け途中だったと思い出したけど、もう終わってしまったらしい。
「ごめん」
「いいって」
申し訳なくて謝ったら、気にすんなって頭をくしゃっと撫でられた。
優しい眼差しがちょっと気恥ずかしい…
つい視線を泳がせたら、にまにましたニノが俺を見てた。
ああ…ますます恥ずかしいんだけど…
顔が赤くなるのが分かったけど、ニノはそれには特に何も触れなかった。
「ねぇねぇ、潤くん。お腹空いてない?」
「は?」
ニノの唐突な問いに、潤は戸惑ったように翔くんを見て
「何それ?」
翔くんの抱える荷物を見て目を丸くした。
「カズへの貢ぎ物」
「ああ…」
ちょっと不機嫌そうな翔くんの簡潔な答えに、潤は何かを察したらしい。
ちがうのにーってむくれるニノは無視して、同情するような目を翔くんに向けてた。
「智ー!翔ちゃんと潤くんが無視する!」
拗ねたニノが泣きつきに来たから、ヨシヨシしてあげてたら
「ハイハイ、ゴメンネ」
ものすごい棒読みだけど、一応潤が謝って。
ニノも本気で怒ってたわけじゃないから、すぐ機嫌を直した。
「一緒に食べよ?」
「俺たちもいいの?」
「こんなにたくさん、2人で食べきれないもん」
「んじゃ、遠慮なく」
潤が了承すると、ニノが嬉しそうに笑った。
「智、先に着替えてこようぜ。ちょっと待ってて」
「うん、いってらっしゃい」
ニノたちに見送られて
「みんなお疲れさま」
「お疲れ!また明日な!」
クラスメイトたちにも声を掛けてから、大急ぎで着替えに行った。