第12章 文化祭
「いやいや!これ全部カズにってもらったんだよ?」
「え?違うよ?翔ちゃんにくれたんでしょ?」
カズはキョトンとしてる。
「だってみんな翔ちゃんの知り合いだもん。俺が知ってる人誰もいなかったもん」
いや、だからカズの可愛さでみんなを一目で虜にしちゃったんだって!
みんなカズのこと可愛い可愛い言ってたじゃん!
まさか聞こえてなかったの?
でも自覚のないカズにわざわざそんなこと言う必要ないか…
下手なこと言ったら、また怖がらせちゃうかもしれないもんな。
そんなことを考えていたら
「ニノちゃん、食べるものいっぱいありそうだけどさ、うちの焼きそばも食べてよ!美味しいよ!」
「わぁ!食べる食べるー♡焼きそばってバーベキューの時を思い出すね」
「そうだな!」
キャッキャした会話が聞こえてきた。
ああ…ここにもいたよ、カズのファンが…
バスケ部メンバーとはすっかり顔なじみになってるから、カズも人見知りしない。
先輩たちとお喋りしながら、山盛りの焼きそばを受け取るカズを見て、思わず渋い顔になってしまった。
我ながら心が狭い。
「なんか…ごめんね、翔くん」
雅紀が苦笑いしながら謝ってくれる。
「でもバスケ部のメンバーはさ、みんな分かってるから!心配しないで大丈夫だよ!みんなニノのこと大好きだけど、変な気おこすやつはいないからね!」
分かってるって何を?とか、大好きってなんだよ!とか、突っ込みたいことはたくさんあるけど。
たぶん励ましてくれてるだろう雅紀の気持ちは単純に嬉しい。
引きつってるかもしれないけど、笑顔を返しておいた。