第12章 文化祭
そんなに経たないうちに、いただきものは両手で持たなきゃいけないくらいの量になっていた。
「翔ちゃん、俺も持つよ?」
「いいからいいから」
こんな大荷物カズに持たせられないから全部俺が持ってるんだけど。
これ全部がカズへの好意だと思うと、ますますそんなものカズに持たせたくない。
食べ物に罪はないから食べるけどね!
カズの手にはヨーヨーとチョコバナナ。
「翔ちゃん、あーん♡」
「あーん」
俺の両手が塞がっているから、カズがチョコバナナを口元に運んでくれる。
「おいしいね♡チョコとバナナの組み合わせって間違いないよね〜」
「王道だよな!でも、カズが食べさせてくれるからもっと美味しく感じるよ」
「もう!そんなわけないじゃん///」
俺は本気でそう思ってるのに、カズは信じてくれない。
「本当なのに」
「翔ちゃんたら…///」
カズは照れたような顔も可愛い。
あー、幸せだなぁ。
一緒にまわれて本当に良かったなぁ。
こんな可愛い子1人にしたら、また何が起こるか分からなかったよ。
でも一緒だからって油断はしないようにしよう。
絶対目を離さないようにしないと。
その後も荷物はどんどん増えていき、やっとバスケ部の屋台にたどり着くと
「ニノ!翔くん!来てくれてありがと…って、どしたの?すごい荷物だね」
ちょうど係だったらしい雅紀が笑顔で迎えてくれたけど、俺の抱える荷物を見て目を丸くした。
「これ?すごいよね!翔ちゃん人気者だから、いろんな人に声掛けられてね。みんなが色々くれるんだよ」
「へー!すごいね!」
カズがニコニコ説明して、雅紀は素直に感心してるけど。
違うからね!
これ全部カズへの貢ぎ物だから!