第2章 友だち
授業が始まっても全く頭に入ってこなくて。
朝見たニノと櫻井くんの姿がずっと頭の中をグルグルまわっていた。
気になって気になって、休み時間に様子を見に行った。
ニノはまた櫻井くんと一緒にいて、俺に気付きもしない。
代わりに智が気付いてくれた。
なんとなく目配せして教室の隅へ行く。
「智、あれ何か知ってた?」
視線の先には寄り添う2人。
やっぱり恋人に見える。
胃の辺りがモヤモヤする。
なんなんだろ?
「知らなかった···雅紀は?」
智も知らなかったんだ。
俺だけじゃなかった。
「俺も···昨日までそんな気配なかったよね?」
「なかった。ニノと櫻井くんが話してるところ一度も見たことないし···」
「ニノが櫻井くんのこと口にしたこともないよね」
2人して首を捻ってしまう。
本当に昨日まで突然こんな状況になるなんて、想像すらしなかった。
それくらいニノと櫻井くんに接点はなかったはずだ。
「今思うとさ、昨日ニノの様子ちょっと変じゃなかった?」
智に言われて、昨日のことを思い出す。
言われてみれば、どこか上の空だったかもしれない。
でも言われてみればっていうくらいだ。
「昨日···俺たちが部活行った後に何かあったのかな」
風ぽんは昨日の放課後、2人が公園にいたって言ってた。
「後で···昼休みにでもニノに聞いてみよ」
智はそう言うと、心配そうに俺を見た。
「雅紀、大丈夫?」
風ぽんにも言われた。
「大丈夫だけど···なんで?」
「なんかすごくショック受けた顔してるから」
俺、そんな顔してるんだ。
確かにすごいショックだったもんな。
「でも仕方ないよね。好きな人に突然恋人が出来たかもしれないんだもん···そりゃショックだよね」
············
···え?
···好きな人?
···誰が?
···誰を?
「···えっと···智なに言ってるの?」
「え?雅紀ずっとニノのこと好きだったでしょ?だからそりゃあショック受けて当たり前だよねって···」
···俺が···ニノを···好き?