第12章 文化祭
智は普段からふにゃふにゃしてるから心配してたんだけど、ふにゃんとしながらも男どもの誘いをスルリスルリと躱している。
躱してるって言っても、意識してやってるわけではなさそうで。
男である自分が男に言い寄られてるとは思ってないみたいで、何を言われても本気にしてないと言うか。
天然発動して、ちょっとズレた返事をしてると言うか。
それすらも可愛く見えるのはメイド服マジックなのか、もともとの智の魅力か。
チグハグな返答であればあるほど、客も喜んでたりして。
なんかおかしい気もするけどな。
何はともあれ、本人無自覚のままモテまくってるけど、上手いことあしらえてるから安心してもいた。
でも、中にはやたらしつこかったり、無理やり智に触れようとする不埒な野郎もいた。
当然いつでも助けられるように気を付けていたが、結局俺の出番はなかった。
智があっという間にその手を捻りあげたからだ。
触ろうとした野郎は悲鳴を上げていた。
鮮やかすぎるその動きにほかの客からは拍手が起こった。
智、自分のこと強いって言ってたけど、本当だったんだな。
翔なんかより、よっぽどしっかりしてるじゃん。
心配する必要は全くなかったか…とも思うけど。
でも別々だったら、やっぱりめちゃくちゃ気になっただろうし、どうしたって心配はしてしまっただろう。
それに入る時間が一緒だから、当然休憩時間も一緒で。
翔とニノとは休みが合わないから、午前中は智と2人で文化祭を見て回った。
さっきの智のセリフじゃないけど、俺的にはデートみたいなもんで。
智はなんとも思ってなかっただろうけど、俺はすげー楽しかった。
そんな時間も持てたし、こうやって同じ場所で働いてるから、智の可愛いメイド姿も堂々と見放題だ。
客と違って俺には時間制限もないからな。
ちゃんと働きつつ、可愛い智を堪能しまくった。