第12章 文化祭
開店と同時にカフェは満席になったらしく、最初からびっくりするくらい忙しかった。
裏方全員が若干テンパリそうになる中、タッキーだけは冷静で、テキパキ指示を出して仕切ってくれて。
無事に第一陣の注文を全部スムーズに出すことが出来た。
カフェだから、お客さんの回転はそんなに早くないから、一通り出した後は少し落ち着いた。
「すげーぞ!外すげー並んでる!!」
ちょっとまったりしてたら、斗真が興奮しながら戻ってきた。
お客さんの様子をタッキーと見に行ってたらしい。
「そんなにすごいの?」
「予想してた以上に並んでるよ…行列整理するやつが必要だな。時間制限も作らないと…」
タッキーは真剣な顔してあれこれ呟きながら、すぐに行動にうつしていく。
「俺もすごい行列見たい」
「ニノはダメ」
呟いてみたら、速攻でダメ出しされた。
「なんでよ!」
「翔に怒られるから」
あー、そっか。
翔ちゃん表に出ちゃダメって言ってたね。
でも表ってカフェじゃないの?
廊下もダメ?
「ニノ、外出なくてもここから見えるよ」
首を捻ってたら、ドアのところに立ってたやつが手招きしてくれた。
近づいていくと、ドアが細く開けられていて廊下が見える。
そーっと覗いたら、確かにびっくりするくらい人がいた。
ここからじゃ最後尾が見えないくらい長い行列。
うちの生徒もたくさんいるけど、半分以上が女の子だ。
周りの女子校の子たちなのかな。
みんなキャッキャとおしゃべりしてるんだけど、あちこちから“櫻井くん”“櫻井くん”て翔ちゃんの名前が聞こえて。
みんな翔ちゃんに会いに来たんだ…
何だか胸がモヤモヤする。