第12章 文化祭
「いや、お前は特に信用出来ない!」
「おい!」
仲良しの2人のやり取りは漫才みたい。
「あはは!斗真信用されてない!」
指差して笑ったら、うっせーってデコピンされた。
「いたっ!斗真のばか!」
本当はそんなに痛くないけど、わざと大袈裟に言ってべーっと舌を出したら
「なんだと!こら!ニノ!」
「きゃー」
斗真がさらに手を伸ばしてくるから走って逃げて
「翔ちゃん、たすけて〜」
そのまま笑って見てた翔ちゃんの腕に掴まった。
それを見て斗真も笑って引いてくれる。
「そうだ!翔ちゃん、一緒に写真撮ろ♡」
「えぇっ…」
お客さんがいない今のうちに写真撮りたい!
せっかくなら可愛いカフェ部分がいいよね♡
翔ちゃんがなんとも言えない顔してるけど、可愛いだけだから気にしないもん。
「タッキー、ちょっとだけ表行って来ていい?」
「いいよ」
リーダーのタッキーに確認したら、爽やかな笑顔でオッケーしてくれた。
「ありがと、すぐ戻るね!ほら、翔ちゃん行こ行こ♡」
翔ちゃんと腕を組んだままグイグイ引っ張ってカフェ部分に出た。
「カズ、みんなのこと名前やあだ名で呼ぶようになったんだね」
「そうなの。なんかね、みんながそう呼んでほしいって。苗字だとよそよそしくて嫌なんだって」
確かにずっとみんなに対して遠慮みたいなのはあった。
やっぱり、俺、外部生だし。
入学直後からしたらだいぶ仲良くなれたけど、でもそれは翔ちゃんのオマケみたいなもんなんじゃないかなって。
そんな思いが心のどっかにあった。
でも翔ちゃんと離れてみんなと一緒に作業してくうちに、距離が近付いていって。
この呼び名の件でやっと本当に仲良くなれた気がしたんだ。