第12章 文化祭
「でもこれ本当にすごく美味しいよ。潤も食べてみなよ」
めちゃくちゃ熱いけど、美味しいのは本当だった。
面白そうに俺たちを見てるだけだった潤にも声を掛けたら
「はい、どうぞ♡」
ニノが潤に皿を差し出した。
さすがに潤には“あーん”しないんだな…
ちょっと安心したりして。
まぁ例えニノが食べさせようとしたところで、潤は翔くんの前だし絶対応えないだろうけど。
潤はニノに食べさせてもらえないことは全く気にせず、さっさと自分でホットサンドをつかんで口に運んだ。
でも俺たちを見てたから、ものすごく慎重にかじってたけど。
「お!本当にうまいな、これ」
「わーい!潤くんに褒められると自信持っちゃう♡」
どうやら無事ヤケドせずに食べれたみたい。
潤が本気のトーンで褒めると、ニノの顔が輝いた。
翔くんに褒められた時より数倍嬉しそうに見えるのは気のせいかな?
「え…俺も褒めたのに…」
翔くんがショックそうに呟く。
ちょっとニノ!
翔くんがガーンってなってるよ!
でも肝心のニノはと言うと
「これさ、ミニトマトじゃなくて普通のトマトスライスしてもいいんじゃないの?カプレーゼみたいにさ」
「そっか!あー、でもそうすると切る手間とか…」
「でも値段考えると…」
潤と改良点について相談し始めちゃって、翔くんの様子に気付いてない。
「他は何にすんの?」
「定番のハムチーズと、ツナチーズは試作してみるつもり」
「チーズばっかじゃね?」
「本当だ!じゃあツナキャベツにしようかな」
「さっぱりしていいかもな」
「あとは甘いので、あんことお餅とか…」
「めちゃくちゃ美味そうだけど、ワッフルがあるならホットサンドはしょっぱい系だけでいいんじゃないか?」
「やっぱそう思う?」
「思う」
「そっかー、そうだよねー」
翔くんも2人が真剣だから口が挟めないみたい。
仕方ないから“俺でごめんね”と思いながら、ションボリとより撫でてしまった翔くんの肩を励ますようにポンポンしておいた。