第12章 文化祭
ーOsideー
パンの焼けるいい匂いがしてきた。
ちなみにここは教室だから、なんか変な感じだ。
しばらくしたら完成したのか、ニノの
「翔ちゃんに持ってっていい?」
なんて、ちょっと甘えたような声と
「いいよいいよ」
「行っておいで」
なんてデレッとした返事が聞こえてきて。
あーあ、きっとまた無意識に可愛さ撒き散らしてるんだろうな。
また翔くんがヤキモチ妬いて不機嫌になっちゃうんじゃないの?
心配になってちらりと翔くんを見れば、なんだかウキウキしてて作業の手は完全に止まってた。
ひとまずヤキモチは妬いてなさそう。
「翔ちゃーん!出来たよ♡」
「カズ、お疲れさま」
エプロン姿のニノがお皿を持ってパタパタと走ってくると、満面の笑顔で迎えてた。
「焼き立てだからまだ熱いの。ちょっと待ってね」
ニノがあちちって言いながらホットサンドを持つと、ふーふーしてから翔くんの口元に運ぶ。
翔くんは顔面崩壊しそうなくらいデレデレしてる。
「幼児か!」
潤がつっこむけど2人には届かない。
「はい、あーん♡」
「あーん…うまっ!あちっ!」
「ごめん!ごめんね!まだ熱かった?」
食べた瞬間、翔くんが口を押さえて叫んで。
ニノが心配そうに目を潤ませる。
「大丈夫だよ、大袈裟な声出してごめんね」
翔くんは何でもない風を装ってニノの頭を撫でてあげてるけど、涙目だし、ものすごい汗かいてる。
「あれ口の中ヤケドしてんじゃないか?」
「本気で熱そうだったよね」
まぁ、ニノが責任感じちゃうから翔くんは絶対言わないだろうけど。