第12章 文化祭
「あのね、翔ちゃんにお弁当作ってたでしょ?その時に色々調べてたから…それがちょっと役に立ったのかも///」
お弁当だけじゃなくて、家で作ってあげる機会もまたあるかもって思って色々調べてたんだ。
「だから、翔ちゃんのおかげだよ?」
「カズ…///」
翔ちゃんのためにって考えてたことが、こんな形で役に立つなんて思ってなかったけど。
なんかすごく嬉しかった。
まっすぐ俺を見つめてくれる翔ちゃんと目が合って、照れ隠しにえへへと笑ったら
「あーもう、本当に可愛い」
そんな呟きと共になぜかまた抱き締められて。
よく分からないけど、翔ちゃんにぎゅうってしてもらえるのは嬉しい。
最近スキンシップが増えた気がする。
翔ちゃんて実はスキンシップ好きなタイプだったんだな。
また翔ちゃんの新しい一面を知れたかも。
ボディタッチってちょっと特別な気がするから。
俺にしてくれるのが、それだけ仲良くなれたって証みたいな気がして、すごくすごく嬉しいんだ。
俺も翔ちゃんの背中に腕を回してくっついてたら
「カズが作ったものを他のやつに食べさせたくないな…全部俺が食べたい…」
翔ちゃんが大きなため息を吐いた。
「いや無理だろ」
即、潤くんの冷静なツッコミが入って、翔ちゃんがキッと睨む。
「分かってるよ!そんなこと出来ないの分かってるから…」
怒ったみたいな口調だったのが、だんだんトーンダウンしてくる。
「せめて試作が出来たら俺に一番に食べさせてくれる?」
「うん」
なんだかちょっと不安そうに聞こえたから、少しだけ体を離して、しっかり目を合わせてから頷いた。
わざわざお願いされなくても、俺だって翔ちゃんに一番に食べてもらいたいと思ってたもん。
「約束する…翔ちゃんが一番に食べてね」
翔ちゃんに向かって小指を差し出したら、すぐに翔ちゃんも指を絡めてくれた。
今まで約束したことは全部叶えてきたもんね。
今回も絶対守るから。
安心してね、翔ちゃん。