第12章 文化祭
でも同時にカズの周りにいるクラスメイトへ嫉妬の気持ちが湧き上がってくる。
カズの隣にいるのは俺だけでありたい…なんて。
いや、カズの友人関係が広がる良い機会なんだから、そんなこと言っちゃダメだよな。
俺は黙って見守ってやらなきゃ。
そんなことを考えながら、俺も真面目に内装の話し合いに加わった。
カズが頑張ってるのに、俺だけいつまでも不貞腐れてるわけにはいかない。
カズに恥ずかしくないように、しっかりしないと。
話し合いが始まってすぐ、智くんを中心に進めていくことが決まった。
智くんが美術部なのはみんなも知ってるし、中には中学時代に大きな賞を獲ったことまで知ってるやつもいて。
更に潤が誕生日会の時の飾り付けの写真を見せて智くんの凄さを力説したもんだから、満場一致で決まった。
智くんは人前に立ったり指示したりするのが苦手だからと嫌がってたけど、もちろん智くん1人に押し付けないし、みんなをまとめたりする必要はないし絶対全員で協力するからと説得して何とか了承してもらった。
その後は具体的にどうするかを話し合ったが、実際にメイド喫茶に行ったことのあるやつなんて居なくて。
イメージを掴むためにみんなで画像を検索していく。
色んな画像を見るうちに、どんどん智くんの目が真剣になっていって。
やがて何かを考え込むように固まってしまった。
きっと頭の中で何かを組み立てているんだろう。
智くんがどんな空間を創り出してくれるのかすごく楽しみだ。
そんな智くんを見守る潤の顔はすごく優しくて、甘くて。
智くんのことを愛しいって思ってるのがダダ漏れで。
見ててちょっと恥ずかしいくらいだ。
こんな顔してたらそりゃ噂にもなるよな。
あの潤がねぇ…
こんな顔するなんてなぁ…
なんだかしみじみしてしまう。
でもこうして客観的に恋する男を見ていると、もしかして俺もカズに対してこんな顔してたりするんじゃって心配になる。
ちょっと気を付けないとな。